Concept..

生命の根元である海。
それを見て、  触れて、  聞いて、
五感で 「感じる」 ことで、
人間は自然に反応し、  気持ちが穏やかになり、
癒されるのだと思います。

しかし、 その穏やかなイメージの反面、
海には私たちの想像を遥かに超える、
恐ろしい一面が存在します。

私が海を描くのは、  海を恐れているからです。
海に入れば、  そこでは人は生きてはいけません。
20歳の頃に始めたスキューバダイビングによって、
私はただただ自然界の恐ろしさを感じました。
そして同時に、  私たちでは作り出せない素晴らしい光や色、
音や造形を目の当たりにし、
それらを全身で感じられる場所だということも知りました。

包み込まれるような感覚と
生まれる前に見たような懐かしい色や音。
息のできない恐怖感、  圧迫感、  孤独感。
この場所で私たちにできることなど、  何もありません。
ただただそれらの感覚を感じることしかできないのです。

人は海の一部には決してなれません。

そして私は、 その「海」という、悚然たる存在を、
平面、 立体、 インスタレーション、映像といった媒体を用い、
いずれはその一部になれると信じて、
制作を続けています。

 

 

渡邉 加奈

 

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